46年目にして念願が叶った

中学生の頃から見たいと思っていた映画の1本『祇園祭』(1968年) 。
46年目にして念願が叶った。
応仁の乱以降、京都の町は荒廃の一途だった。
連綿と続いていた祇園祭もここ数十年、途絶えていた。
さらに、飢えた農民たちによる打ち壊しや、馬借(馬を使った運送業者)たちの狼藉も日常茶飯事だった。
政治の空白が続くなか、力にものを言わせた武士たちが、町の人々に無理難題を強いていた。
そんな時代に、得意の笛が取り持つ縁で、京の染物職人の若者(中村錦之助)が、美しい娘(岩下志麻)と出会い、一夜を過ごした。
恋に落ちた若者は彼女のために、さらには京復興のシンボルとして、久しく絶えていた『祇園祭』を復活しようと、奮闘する。
その思いは人々に伝わり、幾多の困難を乗り越えて、祇園祭の復活へと動き出した。
しかし、武士たちは祇園祭復活を認めない。
その朝、武士たちの恫喝に屈せず、埋め尽くした京の人々たちの歓声と祭囃しの中、若者たちを乗せた山鉾が八坂神社に向かって動き出す。
そのとき、山鉾を止めようと、弓矢を持った武士たちが行く手に立ち塞がった・・・・
実際の史実は知らないが、武士という強権の前で、弱いもの同士で対立していた町衆と農民や馬借や下層民たちが、祇園祭を通じて、ほんとうの敵を知り団結していく。
1968年という時代を考えれば、大通りに立ち塞がった武士たちは、機動隊ということになる。ものすごく分かりやすい。
その分かりやすさが、力強い。
もともとは伊藤大輔監督の企画だったという。
伊藤大輔といえば、傾向映画の人だ。
当時27歳の岩下志麻がめちゃくちゃ綺麗。その美しさは『羅生門』の京マチ子と比肩する。
志村喬、三船敏郎(彼の馬上アクションは見どころのひとつ)、藤原釜足の『七人の侍』トリオに、溝口映画の常連・小沢栄太郎、そのほかにも田中邦衛、北大路欣也、佐藤オリエ、伊藤雄之助、さらには高倉健と豪華な顔ぶれ。
とにかく中村錦之助と田村高廣に三船敏郎と渥美清が同じフレームの中に映っているのだ。次のカットでは町娘に扮した美空ひばりがキャッキャと騒いでる。
この映画、製作当時に様々なトラブルに見舞われたことでも有名。
しかし、そんなことを時の流れが洗い流してしまった。
日本映画を支えてきた俳優たちの元気な姿と、暴力的な圧政に“祭”が象徴する歌舞音曲を武器にして抵抗しようとする人々の思いだけが残っていた。